都道府県連合パズル・ゲーム研究室

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グレートウエスタントレイル:戦術紹介1【カウボーイ特化】

基本戦略の話を一通り終えたところで、いよいよ具体的な戦術の話です。まずはカウボーイ特化から。


相関図【カウボーイ】


これは、カウボーイだけを雇って、ひたすら牛を買って出荷を繰り返していく戦術です。職人と技師は基本1人も雇わず、列車もまったく進めません。序盤に低コストの建物を建てる以外は、すべてのお金をカウボーイの雇用と牛の購入に投じます。牛によるデッキ強化がいち早く進むので出荷もスムーズで、列車を進めていなくても牛を買えるお金くらいは安定して入ってくるので問題ありません。

とことん無駄を省き、牛の購入とそれによるデッキ強化のみに特化した戦術・・と言えます。得点的にも序盤から牛のカード点で先行でき、終盤になっても牛が残っている限りは買い続けられますし、デッキ強化が進んでいることで出荷点も稼ぎやすい・・と、失速しづらい万能な戦術です。カウボーイさえ順調に雇えてしまえばこれといった妨害も受けづらいので、潰し合いの激しい低得点場になるとさらに有利になります。

これだけ聞くと欠点がないように見えますが、良くも悪くもやる事が決まっていて突き抜けることは難しいため、誰かが極端に伸びる展開になると分が悪いです。考えられるのは、建物のコンボをうまく決められたり、技師戦術側にライバルがおらずに駅長タイルを易々と独占されてしまう・・などです。また、牛が完全に枯れてもまだゲームが続くほどに長期戦になった場合も不利です。


細かい部分はともかく、戦術自体はシンプルなので初心者が最初に試すのにはオススメです。とりあえず「ひたすらカウボーイだけ雇って牛を買ってごらん?」・・と声をかければ、誰でもプレイできるかと。(熟練者の方はカウボーイを譲っていただけると(笑)。)一度やってみればカウボーイと牛がどのように拡大再生産や得点に寄与するのかが体験できますし、多少動きが非効率でも一定の高得点は出るでしょうから、得点を出す楽しみを感じてもらえて再プレイ意欲も湧きやすいんじゃないでしょうか。^^

グレートウエスタントレイルほど複雑なゲームになると、重ゲー慣れしている人以外に勧める際には初めに何かしらの指針を示したほうがよいのかな・・と、個人的には思います。プレイヤーの希望にもよりますが、いろいろ試すのは一度デフォルト的な動きをやってみてからでも遅くないかと。一番まずいと思うのは、何がなんだか分からないままプレイして熟練者の半分くらいのスコアで終わり、これは自分には無理!・・と思わせてしまうことです。グレートウエスタントレイルはポイントさえつかめれば比較的上達しやすいゲームだと思いますから、GWTファンの皆さんにはその点初心者の方に誤解を与えないようにしていただけると・・と、願っております!(^^ヾ


話がそれましたが、カウボーイ特化戦術についてより詳しく見ていきます。因果関係が少々複雑になるので、初めに注意点のリストをまとめてから説明に入ります。

[1] 序盤の注意点
 [1.1] 3人目のカウボーイ
 [1.2] シャッフル前のデッキ強化
 [1.3] 有効な私有建物
 [1.4] 災害タイル先の利用

[2] 中盤の注意点
 [2.1] 4人目のカウボーイ
 [2.2] 共有建物Dでの金策
 [2.3] 黒枠マスディスクの解放順序
 [2.4] 目的カード

[3] 終盤の注意点
 [3.1] 5~6人目のカウボーイ


[1.1] 3人目のカウボーイ

最初はもちろん、カウボーイを雇うところからのスタートです。初めて共有建物Aを踏んだときに、労働市場にカウボーイが残っていなければそもそも選択肢にはなりません。2人同時に雇って一気に3人にできればベストですが、それが難しい場合は1人だけ雇ってまた次回以降に狙うことになります。カウボーイの記事でも述べた通り、カウボーイは最低3人はいないと効率的に働かないため、なるべく早く3人にすることが重要です。


[1.2] シャッフル前のデッキ強化

一方で、早期に黒枠マスのディスクを解放するため、シャッフルが入る前に強い牛をデッキに入れたいという目的がまた別にあります。これはカウボーイ雇いから入っているからこそ、可能になる視点です。最も無駄がないのは、カウボーイを3人にした上でデッキシャッフルが入る前に6コインで4牛を買えるケースで、可能ならこれを目指します。ただし家畜市場に4牛が多くめくれていて、逆に高得点の3牛が少ない場合は、ライバルに先に取られてしまうのを防ぐために臨機応変に3牛購入から入るのも手です。私有建物2aが使える場合は、もう1回購入できるので「4,3,3」と3枚の牛を入れることも可能で、こうなると見通しが明るいです。


ただ一つ注意すべき点があって、以前に共有建物の記事を書いたときには見落としていたのですが、ここでAとEの位置関係が密接に関わってきます。結論を先に述べると、AがEよりも手前にあるとカウボーイ戦術には有利で、逆だと不利です。

この事を理解するために、デッキシャッフルの入るタイミングについて考えてみます。最初はデッキ枚数14枚、手札枚数4枚だから山札枚数は10枚です。この状態から2回の出荷を行なったとすると、手札を4枚捨てて4枚引くのを2回行なうから残り山札枚数は2枚です。よって、デッキシャッフルが入るまでに捨てられる手札はあと3枚です。実際は、A,B,Eで2牛を捨てて2コインを得る際や、Fで4コインを得る際にも手札を捨てる機会は発生するため、2回目の出荷を行なうまでには概ね3枚以上の手札が捨てられていると考えるのが自然です。そうなると、現実的なデッキシャッフルのタイミングは2回目の出荷時ということになります。

ここで、AがEよりも手前にあると「A → 出荷(1回目)→ A → E → 出荷(2回目)」のような手順が可能で、Eで牛を購入するまでに2回Aを踏めるため、最悪1人ずつ2回に分けてカウボーイを雇ってもよく、6コインでの4牛購入がより容易になります。2人同時雇いが問題なさそうなら、最初のAを省いてしまうこともできます。

一方、AがEよりもあとにある場合、手順は「A → 出荷(1回目)→ E →(A)→ 出荷(2回目)」のようになり、2回目の出荷を行なう前のEより前にはAを1回しか踏むことができません。すなわち、6コインで4牛を買うためにはこの初回のAで2人のカウボーイをいっぺんに雇う以外に方法はありません。このAの前に出荷による金策を行なえないことがポイントで、金量的に1~2番手はほぼ不可能です。3~4番手ならFがAよりも手前にあればFで4コイン、Aで労働者を雇う前に2コインを得られれば計14~15コインが手元に残るので、ギリギリ足ります。ただし、この状況だと1~2番手が1人雇いから入る可能性が高く、その直後に出荷してくれないと、Aを踏んでもほとんど雇える労働者が残っていないという事態もあり得ます。

2aがある場合は、Aの向こう側に建てることで「A → 出荷(1回目)→ A → 2a → 出荷(2回目)」として回避することもできますが、これも不可能な場合はカウボーイ雇いと牛購入の狭間で難しい選択を迫られます。一つの選択肢は、最初のAで1人だけカウボーイを雇ったあと、3~4人目はとりあえずスルーして先に12コインで5牛を買うことです。これでデッキは強化されますが、お金をたくさん使ってしまうことになるのでその後さらにカウボーイを雇って牛を買うまでのペースは少し遅くなります。災害タイル先のスペースを利用していて継続的に証明書を増やせる状況なら、3牛だけでも価値10の出荷に届くのでここで無理に5牛を買う必要はないと思います。労働市場のカウボーイが枯渇している状況なら、他にお金の使い道がないので有りですが。

もう一つの選択肢は、デッキ強化は3牛だけでとりあえず我慢し、3~4人目のカウボーイ雇いを優先させることで、おそらくこちらが王道です。そもそもこのかたちになっている時点でカウボーイ戦術はやや苦しいので、勝てる確率を上げるためには多少リスクを負って「手札3,2,2,2+1証明書」での10出荷到達を目指す必要があるのではないかと思います。場合によっては、Cに止まって証明書を増やす必要も出てきます。


[1.3] 有効な私有建物

カウボーイ戦術のときにあれば絶対に使いたい建物は、2aと4bの2つです。2aは既に上の説明でも登場していますが、Eと併用することで牛の購入頻度を増やし、デッキ強化を加速するのに役立ちます。逆に2aがない場合は、なるべく早くカウボーイを5人以上にしてEだけで複数の牛を買える体制にすることが求められます。4bは手数を使わずに手札の育種価を上げ、出荷を楽にしてくれる建物です。ゴール近くに建て、価値10の都市を目指す3回目の出荷から使えるとよいです。必要職人数が2なので、1の建物を経由して建てます。私有建物の記事でも紹介した通り、これがあるのとないのとでは特に中盤以降の加速が大違いです。

最初はこの2aと4bの存在を見て、カウボーイ戦術へ行くべきかどうかの指針にするとよいのではないかと思います。これらの建物以外にも、妨害効果のある1a・1bや、お金を生んでくれる3a辺りは序盤からでも使えます。職人を雇わない中で何度も改築して、必要職人数3以上の建物にアクセスする必要はないです。


[1.4] 災害タイル先の利用

災害タイル先のスペースは、基本的にお金をたくさん貯める必要のないカウボーイ戦術とは相性が良いです。牛を購入してお金を使いきった上で、災害タイルの通行料を計画的に踏み倒す動きが可能だからです。ただし、共有建物の配置によってはそれが難しいこともあるので注意が必要です。位置や効果からして最も使いやすいのが落石、次点が洪水になります。どちらも2ヶ所連なっているので、手前に3a・3b・4a(4bは出荷に向けた効果を活かせなくなってしまうので×)といった移動系の建物を建てるコンボが有効です。奥には2aがあれば一番理想的です。干ばつはスペースが1ヶ所しかないためあまり魅力的でなく、住居タイルの先はムラがあるのでお勧めしません。(住居タイルは枯渇した状態から短時間で急激に溜まることもあるし、困らせるために溜めてしまおうという妨害も容易。)

4aがあるときは災害タイルの除去が比較的容易な事と、そもそも4bがない時点でカウボーイ戦術には不利なことから利用できそうなら積極的に利用していったほうがよいと思います。逆に4bがあるときは、デッキシャッフル前に4牛さえ入れば証明書なしでも手札「4,2,2,2」での育種価10到達が十分可能ですから、無理に災害タイル先を利用する必要はないと思います。選択肢になるとすれば、[1.2] の項で述べたようにデッキに4牛が入らない流れになったときですね。


[2.1] 4人目のカウボーイ

カウボーイを3人にして4牛や3牛がデッキに入ったあとは、なるべく早く4人目のカウボーイを雇って5牛を買いたいところです。デッキ強化の目的のみならず、得点面でも他のプレイヤーに先んじてカウボーイを4人にできれば、高得点の5牛を独占できるメリットがあります。ただし、初期の家畜市場に5牛が1枚もめくれていない場合は、そこまで急ぐ必要はないです。(そもそもこの状況はカウボーイ戦術には不利。)それでもカウボーイが4人いれば1人を山札ドローに充てて補充しながら牛を買っていく動きも可能になるので、場から有効な牛が無くなるまでには入れておきたいところです。

ちなみに、労働市場におけるカウボーイの辛さの違いによる影響について補足すると、仮にカウボーイがレアな場でうまいこと早期に3人体制を築けた場合は家畜市場の牛を独占できて一見有利なようですが、その後はレアなカウボーイをみんなこぞって取るために、4人目以降を雇うのには苦労することが多いです。その点、プレイヤー2人くらいがスムーズにカウボーイ3人体制になれるくらいの量が出回ってたほうが、中盤以降もやりやすくて得点が伸びる印象があります。家畜市場の牛の奪い合いも、2人までならわりと許容範囲かと思います。なので、最初にあまりカウボーイがめくれていない中でカウボーイ特化戦術へ向かおうとするのは、仮にその瞬間カウボーイを雇える流れになったとしても少々リスクが高いと感じています。


[2.2] 共有建物Dでの金策

この戦術は、序盤はそこまで大金が必要にならずにカンザスへの出荷も1回で十分なのですが、それ以降追加のカウボーイを雇ったり牛を買ったりするのにお金が足りなくなりそうになったときには、Dでの金策を適度に行ないながら立ち回ることが重要です。目安としては住居タイルで4コインが得られれば補助アクションも合わせると6コインになるため、これで牛購入1回分のお金を得ることができます。基本、お金が十分なときに止まる必要はありませんが、もっと多く得られる状況なら未来を見越して止まるのも有りです。


[2.3] 黒枠マスディスクの解放順序

理想的な動きは、デッキシャッフルが入ったあとの3回目の出荷で価値10の都市へ到達し、手札を5枚にすることです。いったん手札が5枚になると、牛を継続的に購入してデッキを強化している以上は次の出荷がかなり楽になり、価値12→14,16と、スムーズに置いていきやすくなります。ただし、手札枚数を増やすためには追加で5コインがかかるため、お金が拡大再生産に重要な局面でなおかつ手札4枚でも次の価値12の都市への出荷の目途が立つときは、移動数を先に増やすのも手です。移動数を増やすと3コインが付いてくるため、差し引きで8コイン増えることになります。また、特に4人戦で他プレイヤーの私有建物が乱立しており、アクションに多くの無駄が発生しそうなときも移動数が優勢になります。

いずれにしても、価値12の都市では手札枚数と移動数のうちの増やさなかったほうを増やし、その後の価値16の都市への出荷で「移動数最大+3点」を狙います。手札を6枚にするのは、ゲームが長引いて出荷回数を増やせそうであれば有りですが、大方検討する頃にはもうゲーム終盤に差し掛かっており、5コインかかるデメリットのほうが大きくなってしまう場合が多いと思われます。

ちなみに白枠マスのディスクのほうは、「コイン → ドロー」と解放したあとはどれを取ってもかまいません。補助アクションもお金が足りないときはコインで、出荷に向けた育種価が足りなかったりデッキを回転させたいときはドロー・・と、この2つしか使いません。


[2.4] 目的カード

目的カードは、牛のみが条件になっているものは数多く取っても達成でき、逆に駅が条件に含まれているものはまず達成できない・・という点ではっきりしています。同じ戦略のライバルがいる場合、牛が条件の目的カードは相手にとってもおいしいので、さっさと押さえてしまうのも手です。本来は急いで取らずに、出荷時のボーナスや中盤以降のCに止まらざるをえない流れのときを利用して、効率的に獲得していきたいところです。


[3.1] 5~6人目のカウボーイ

カウボーイを4人にしたあとは、金策しつつ牛を買って出荷を繰り返していくだけで特にこれといった芸はないのですが、得点効率の記事でも述べたように5~6人目の労働者は得点行動としても優秀なため、適当なタイミングでカウボーイを6人にして終えたいところです。[1.3] の項の通り、2aがない場合は早めに雇いたいですが、2aがあるときはここでの牛購入を優先し、終盤の4~6コインで雇える労働者が登場してからで十分です。

 

解説は以上になります。こうして見ても、特に重要なのは序盤の状況判断と動き方ですね。仮にいくらか失敗したとしても、大きく沈むことは少ない丸い戦術であることは確かだと思います。以下、まとめです。


・ゲームを通して主にやる事は、カウボーイを雇い、金策し、牛を買い、出荷すること。それだけ。

・速攻でカウボーイ3人にし、デッキシャッフル前に4牛を入れるのがまず目指すかたち。

・共有建物AがEよりも手前にある場合は、上記は現実的。逆の場合は特殊な状況の3~4番手を除いては非現実的。

上記が不可能な場合、この戦術はやや不利。新たな選択肢はいったんカウボーイを2人に留めてデッキシャッフル前に5牛を購入するか、3牛のみの購入に抑えつつ3~4人目のカウボーイを雇い、同時に証明書を得る手段の目途をつけるかのどちらか。

・デッキシャッフルは2回目の出荷時に入り、3回目の出荷で価値10の都市を目指すというのが上記のすべてのパターンの原則になっている。

・理想的なディスク解放の手順は以下。お金やアクション効率を優先したい場合は手札枚数と移動数を入れ替える。また、序盤の引きが悪くてお金が足りない場合は2回目の出荷もカンザスにする。

0(カンザス):コイン → 1:ドロー → 10:手札枚数(5枚)→ 12:移動数 →(14)→ 16:移動数+3点 → …

・私有建物は2aと4bがあれば活かす。

・災害タイル先の建物スペースは、「共有建物の配置状況+出荷に証明書が必要か」によって、利用するかどうかを決める。4bがあると不要になる場合が多い。

・4人目のカウボーイはなるべく早く雇って5牛を買う。

・5~6人目のカウボーイは、2aがなければ極力早めに雇って共有建物Eのみで牛をたくさん買っていけるようにする。2aがあるなら最後で十分。

・共有建物Dでの金策は、必要なときに適度に交える。


ちなみに目指すべき得点の目安は、平均的な強さの場で30手で100点くらいだと思うので参考にしてください。

 

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