都道府県連合パズル・ゲーム研究室

パズルやゲームに関する研究結果をアップしていく予定です。

グレートウエスタントレイル:基本戦略考察5【得点効率】

本記事では、グレートウエスタントレイルの各得点要素について大まかに分析します。グレートウエスタントレイルの得点手段は多岐に渡っており、何が効率良いのか最初は分かりづらいかもしれません。その辺りの判断材料として、ゲームを始めたばかりの方にも良い指針を提供できれば幸いです。

ルールブックの順序に従い、1~11まで順番に見ていきます。

1.コイン
得点として勘定するのは、出荷で得たコインを使わないまま再度高速で出荷に向かうときくらい。その場合は出荷の得点と同一視して捉えればよい。コイン自体の得点効率は決して良くなく、他にコインを得点に換えるさまざまなアクションが存在する。コインを得るアクションは、常にそれらとセットで考えるべきもの。結論としては、コインを個別の得点ソースとして認識する必要はない。

2.建物
職人数あたりの建物点を計算してみると、ざっと1.4点程度。建てるのに職人数につき2コインかかり、2コインが0.4点だから、概ね職人1人あたり1点の価値を生むと考えてよい。すなわち、職人を最大まで雇っていれば建物を建てることで約6点の行動が期待できる。通常の職人重視の戦術だと、もう少し低くて4~5点程度か。お金を使ってこの点数だと、そこまで魅力的ではない。そもそも建物は、建てたあとにアクションを活かすのがメインの目的。

3.出荷
10にディスクが置かれた状態で、順番に「12,14,16」と置いていったとすると、それぞれ「6点,8点,10点」が入る。加えて輸送費にもよるが、コインが1~3点分程度入るから、7~12点の行動になる。これは得点行動としては優秀で、ゲームの中でも安定して一番高い。ただし、出荷前に手札の入れ替えに手を取られると効率が落ちる。共有建物DやGなどの補助アクションで手札を入れ替えたとすると、状況にもよるが他のアクションも同時にできるからざっと6~8割と見積もって、4~10点くらいの価値か。私有建物4bなら、手数を消費しないので問題ない。高いとはいっても、他の得点手段を疎かにできるほどの出力はない。また、18のサンフランシスコは常に9点で、12~16と比べて特段高いわけではない。よって、12~16の都市が空いているうちにサンフランシスコを無理して狙う必要はない。

4.駅
奥へ行くほど得点が高くなる。サンフランシスコより手前は駅長タイルがメインで、駅の得点はおまけみたいなもの。サンフランシスコより奥でも、その中で一番手前は8コインも必要な上に差し引き3~4点相当だから、まだ効率は良くない。一番奥まで行くと8~9点相当で、出荷に次ぐレベルの高さまで上がる。ただし、技師不足で駅の移動に2手かかっているようだと、得点効率は半分に落ちてしまうので注意。

5.災害タイル
支払うコインと合わせて差し引き1~3点相当。得点効率は低い。私有建物4aで取るのなら、手数を消費しないからお金に余裕があれば悪くない。4人目のカウボーイを雇ったときの効果などでタダで取れる分にはおいしい。

6.牛カード
カウボーイを雇っていないと得点効率は災害タイル並み。(デッキが強化されるだけまだ良い。)カウボーイを適切な人数雇っていると、3牛×2は1~5点、4牛は2~4点、5牛は4~6点、4牛×2は4~8点相当の価値を生む。家畜市場に高得点の牛がめくれていれば、得点効率は出荷に次ぐレベルで良く強力。カウボーイが最大なら、お金さえあれば2回分購入して9~10点を稼げることもある。

7.目的カード
無理なく達成できれば、ノーコストで3~5点。積極的に取りにいくには微妙なラインだが、技師戦術のときには共有建物Cで列車を進めながら取れるから悪くない。コインが要らないのは大きく、終盤にやる事が少なくなってきたときに目的カードで得点を稼げるようにしておくと、手数を無駄にせずに重宝することもある。特に4人戦などで私有建物が乱立してくると、止まる場所に困る場面も出てくるため。なので、特定の目的カードを他のプレイヤーと争っているとき以外は、目的カードは急いで取らずに常に取れる余地を残しながら立ち回るのがよいと思う。自然な流れで達成できなそうな目的カードを取って頑張るのは、効率が悪いのでお勧めしない。どうしても何か取らなければいけない場合は、せめて寄り道1手まで・・で、2手以上かかる場合は諦めが肝心。出荷のついでに得られる目的カードは、出荷点として捉えたほうが効率性が分かりやすい。

8.駅長タイル
戦略によって向き不向きがある。戦略に合うタイルを取り、特化すると強い。出荷レベル、場合によってはそれ以上の得点をたたき出す。技師戦術のお供であり、狙いが被ると負けたほうは厳しい。労働者が1人減るデメリットもあるので、戦略と合わないタイルを無理に取る必要はない。ただし、労働者を雇ったときの即時効果を繰り返し使えるようになる点はメリットで、特に職人の4人目と技師の4人目は有効。タイル毎の詳細は別記事にまとめる予定なので、ここでは割愛。

9.5~6人目の労働者
終盤に登場する安い労働者(4~6コイン)を雇えば、5~6人目を2人同時に雇ったとして5~6点+即時効果。強い。特に職人の即時効果はそれでさらに建物点がコインと差し引きで6点程度入るから、出荷レベルの強さになる。特化した方面の労働者については、できれば6人を達成して終えたいところ。

10.移動数最大の3点
ちょっとしたおまけで、無理に狙うものではない。黒い枠のマスにあるディスクをはずせるタイミングは限られているため、取りにいくなら何かを諦めなければならない場合も多い。展開が速いときに、手札枚数より優先すべきかどうかは判断が難しい。

11.労働市場トークンの2点
ゲームを終了させると付いてくる2点。一般には他のプレイヤーに譲って別の得点行動を重ねたほうが強いため、なるべくなら取りたくない。他に2点以下の得点行動しか残っていないときは、取るのが最善。3点以上の行動が残ってるときも、自分の得点だけでなく他のプレイヤーに入るであろう得点との差を考えて、損得を判断することが肝要。


特に得点効率が重要になるのは、ゲーム終盤です。以上の考察から、終盤の寄せの段階で取るべき手の優先順位をまとめると、以下のような感じになるでしょうか。

優先順位1(最優先)
・得点の入る出荷(手札の入れ替えなし(あるいは4b利用)で行ける場合)

優先順位2(優先)
・一番奥の駅
・牛の購入(カウボーイ大量,家畜市場の牛が充実している場合)
・5~6人目の労働者

優先順位3(やや優先)
・得点の入る出荷(手札の入れ替えに1手必要な場合)
・中程度に奥の駅
・牛の購入(カウボーイ3~4人程度,あるいはカウボーイ大量でも家畜市場の牛が充実していない場合)
・目的カードの獲得(既に達成している条件のもの)

優先順位4(他にやる事がないとき)
・災害タイルの獲得
・建物の建設
・駅(サンフランシスコの1つ奥以前)


より上位の選択肢をたくさん作り出せているのが、終盤に強い状態です。序盤からリードする戦略でも、有効な得点手段がいくつか残っていれば失速せずに済みます。