都道府県連合パズル・ゲーム研究室

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グレートウエスタントレイル:戦術紹介2【カウボーイ+職人】

カウボーイに加えて職人も雇って運用していく戦術で、いくつかのパターンがあります。一般にカウボーイ雇いから入った場合は、職人に寄り道するよりもそのままカウボーイ特化へ突き進んだほうが強いと思うので、主に職人雇いから入ったときの選択肢です。

職人の記事でも述べた通り、中コスト帯の私有建物を序盤から運用するメリットはあまりなく、職人を雇ったらまず10a・10bを目指します。10bがあるときは、コンボ前提の8bや終盤の7aも有効です。それ以外は2a、4bなど通常のカウボーイ戦術のときにも使う低コストの建物を中盤以降に利用していきます。10aのときは他にカウボーイ戦術と合う高コストの私有建物がないため、職人の効果も限定的で少々厳しいかもしれません。


最初の目標は、「2~3回目の出荷後の10a・10b建設」です。このタイミングで建てられれば4~5回は使えるので、存分に最強建物の効果を活かしきることができます。ただしそのためには職人を4人にする必要があり、難しそうならもう1巡あとに軌道修正します。「2~3回目の出荷後」としたのは、共有建物AとBの位置関係によって少し状況が変わるからです。具体的には以下のような手順になります。(A,Bのあとのコロンを挟んだ数字は建設する建物の必要職人数です。)

① Aのほうが手前にある場合
出荷(1回目)→ A(職人+1~2人)→(B:1)→ 出荷(2回目)→ A:4または5(ここで職人4人)→ B:8または9

② Bのほうが手前にある場合(金回りの良いとき)
A(職人+1人)→ 出荷(1回目)→(B:1)→ A:4または5(ここで職人4人)→ 出荷(2回目)→ B:8または9

③ Bのほうが手前にある場合(金回りの悪いとき)
(A)→ 出荷(1回目)→(B:1)→ A(ここで職人2~3人)→ 出荷(2回目)→(B)→ A:4または5(ここで職人4人)→ 出荷(3回目)→ B:8または9


このように、AがBよりも手前にあるときは常に2回目の出荷後が最短になりますが、逆の場合は金回りが悪いと3回目の出荷後にずれ込んでしまうことになります。これは単に金量的なきりの良さの問題です。つまり、Bのほうが手前にある場合はFなどでよりシビアに金策を行なう必要があったり、そもそもゲーム開始時の所持金の多い下位番手のほうが有利であるという指針が生まれたりします。


さて、これだけではわかりにくいでしょうから、実際に10a・10bを建てるために必要になるお金の量を計算してみます。ざっと職人を3人雇うのに6+6+7+2=21コイン(1人は同時雇い、1人は労働市場3行目を強いられると仮定。)、建物を建てるのに4+8=12コイン(10aのベースとなる必要職人数1の建物は、緑牛を捨てながら建てれば差し引きコスト0だから数えない。)で、計33コインが必要です。

次に入ってくるお金ですが、仮に平均的な育種価5(1,1,2,2)の手札で2回カンザスへ出荷したとすると、得られるのは(5+6)×2=22コイン。初期の持ち金は6~9コインですから、あと2~6コインあれば足ります。これはまだ他にDやFの金策手段があり、AやBでもしばしば2牛を捨てて2コインが得られることを考えると、それなりに余裕のある状況です。


そうなると、速攻で10a・10bを目指しつつも、並行して他方面の拡大再生産への布石も打ちたくなってきます。今回のテーマは「カウボーイ+職人」なのでここはカウボーイになりますが、技師の場合ももちろんあります。職人4人体制を目指しつつさらにカウボーイを雇うことを考える場合、また少し違う計算が必要になります。

BがAよりも手前にある場合に関しては、最後の完成時にBで必要になる8コインは直前の出荷で賄えると考えられるため、考察対象からはずします。そして、その出荷直前までに得られるコイン量と、建物建設に必要になるコイン量の差を考えます。便宜上、Fは2回利用し、A,Bでの2牛捨ては3回に2回の割合で適っていたと仮定すると、上記の ①~③ の各ケースで余るお金の量は以下になります。(計算の詳細は割愛。)

① 9~12コイン
② 4~7コイン
③ 17~20コイン


幅があるのは番手の違いによるゲーム開始時の所持金の差です。以下、さらに考察します。

① AがBよりも手前にある場合は、カウボーイを1人だけ雇って3牛を買うくらいなら並行してできそう。

② BがAよりも手前にある場合は、最速で10a・10bを建てようと思ったらカウボーイを雇ってる余裕はなさそう。

③ BがAよりも手前にある場合も、10a・10bの建設を1巡遅らせればカウボーイによるデッキ強化を先に始められる。


このように、AとBの位置関係、および10a・10bの建設を1巡遅らせる(無理しない)かによって、できる事はかなり変わります。お金をギリギリまで使って、カウボーイ雇いから最低限の牛購入を両立するほうがデッキ強化をケアできる分強いですが、4人目の職人を雇えなくなって早期の10a・10b建設に失敗するリスクも上がるので一長一短です。そこら辺は、場の状況や各人のプレイスタイルにもよるでしょうか。

一番強いのは、① のケースで3牛を買いながら2回目の出荷後に10a・10bを建て、その直後の3回目の出荷で証明書と合わせて価値10の都市へと到達できたときです。ここで手札を5枚にできれば、まだゲームは中盤ですから最強の建物を繰り返し使える事とも合わせ、見通しが明るいです。


いずれにせよ、早期の10a・10b建設を目指すときにはお金の計算を綿密に行ないながら歩を進めることが大事です。建設が1巡遅れるならその分のお金は先にカウボーイと牛に充ててデッキを強化したほうが強いので、手札の引きが悪くて資金繰りが厳しそうなら早めに見切りをつけて、1巡遅れ前提の動きに切り替えるのも手です。また、労働市場の職人が辛くなりそうかも重要な要素ですね。

ギリギリを狙う場合は、建設時に2牛捨ての2コインを得られるかどうかの引き運や、土壇場での通行料建物による妨害に足元を救われるリスクもあります。1コインだけ足りないという状況なら、牛歩して補助アクションで1コインを得たほうがよいです。手損にはなりますが、10a・10bの建設が1巡遅れるよりはまだマシです。


10a・10bの建設場所は、Bの直後が理想です。建ててすぐに踏め、使用回数を増やしやすいからです。他にも強力な移動効果を活かせる場所に建てる視点や、10b+8bのコンボ狙いのときには8bのスペースまで考慮に入れて場所決めすることも大事です。


そもそもこのかたちは、前回紹介したカウボーイ特化戦術と比べるとやや消極的なものなのですが、10b+8bが可能な場合は別格で、先手番が積極的に狙っていっても良いほどの価値だと思います。それ以外は、10bから終盤に7aを活かすかたちであればまだ戦えますが、有効な高コストの建物が10a・10bだけになるようだとちょっと厳しいです。

かろうじて有りそうなのは2a,4bが共になく、純粋なカウボーイ特化戦術が不利でカウボーイが安くなったときくらいでしょうか。2a,4bがない場は、本来は技師へ行きたいところなのでやはり積極的な選択肢ではなく、加えて対人戦ではカウボーイの人気も高い傾向があるように思いますから、検討する機会は少ないかもしれません。


10b+8bのコンボを狙う場合は、なおさら10bの建設が遅れると痛いために、職人の優先度が増します。10bの建設が2回目の出荷後なら8bは3回目の出荷後に建てられますが、1巡遅れて10bが3巡目の出荷後になると8bは4巡目の出荷後まで遅れ、延べ8コイン8列車を損してしまうことになります。さらに建設が遅れるほど妨害にも遭いやすく、コンボが決まる保証もありません。

8bへは職人4人の状態で必要職人数2の建物を改築すると到達できるので、最初に4a・4bを建てて場所だけは確保し、通行料徴収による妨害も兼ねられると(特に4人戦では)有利です。10bも合わせて早々に場所を押さえてしまえば、コンボを阻止される恐れもなくなります。

8bを建てる際にはまず先に建てた10bで列車を進めて職人を駅長にし、再度職人を雇ったときの即時効果で建てられれば最高ですが、この場合職人を雇いなおせないと8bを建てられなくなってしまうので、労働市場の職人状況には注意が必要です。既に一番手前の駅長タイルが取られているなら、普通にBで8コインを払って改築するしか選択肢はないので気にする必要はありません。

10b+8bのコンボは、最速で(3回目の出荷後に)完成すると、技師をまったく雇わなくても駅長タイルを取ったりサンフランシスコよりも奥の駅まで到達できるくらいの出力はあるので、非常に強いです。同じ戦術のライバルがいない中で相性の良い駅長タイルさえ取れていれば、ほぼ勝利は間違いないほどのレベルです。

なお、10b+8bの建設位置の重要度は他の建物と比べても極めて高いです。使える回数が1回増えるかどうかで8コイン8列車の差が生まれるわけで、それはそのまま最後に奥の駅を1~2個取れるかどうかの差となって現れます。なので、極力Bのすぐ後にある2つ連なった建物スペースを狙います。理想的ではないですが、災害タイル先しか有効な場所が残っていなければ、そこに建てるのもやむを得ないと思います。


寄り道せずに職人のみを雇って10a・10bまで到達した場合、他の拡大再生産は進みませんが、まだカウボーイと技師のどちらへ行く選択所も残されている点はメリットです。場の状況を見て、競合しなさそうなほうを選ぶといったこともできます。

カウボーイを雇っていった場合、中盤以降の動きは牛購入と出荷がメインになり、カウボーイ特化戦術とほぼ同じです。建てたのが10bなら継続的にお金が入ってくる分、カウボーイ雇いと牛購入が楽になりますし、駅長タイルが余っていれば狙える可能性も出てきます。10aなら証明書が増える分、より出荷を重視した得点効率の高い動きが可能になります。


得点的には、初めは建物点が一気に入るためカウボーイ特化戦術ととんとんですが、その後の構築過程でいったんリードを許します。強い建物を使える利点を生かして、終盤までにジワジワと差を縮めて逆転を狙うことになります。

 

ポイントまとめ

・主に10bと8bがあるときにコンボ狙いで取られる戦術。それ以外はカウボーイ特化戦術が取れなかったときの選択肢。

・初めから職人を雇っていく。カウボーイを雇ってあとから職人を雇う選択肢はまずない。

・まず10a・10bを目指す。10bのときはその後8b、7aも選択肢。

・10a・10bを建てるには、職人4人の効果を(Aでの即時効果とBの)2回使う。

・4人目の職人が雇えなくて遅れる事態は深刻なので注意。

・基本は2回目の出荷後に建てることを目指し、難しそうなら3回目の出荷後に遅らせてカウボーイ雇いと牛購入によるデッキ強化を優先する。

・建設には大金がかかるため、いくら必要かを綿密に計算して貯めながら先の手を考えて動く。

・共有建物AとBの位置関係は重要。Aのほうが手前にあるとお金にやや余裕があるが、逆だと余裕はない。

・10a・10bの場所は、Bの直後にあるほど早く使えて得。

・10b+8bのコンボを狙う際には、先に必要職人数2の建物によって8b予定の場所を押さえてから隣りに10bを建てにいくとより安全。

・10a・10b(+8b)の建設後は、カウボーイを雇ってひたすら牛を買い、出荷を繰り返して得点を稼ぐ。建設前から並行して動き出せれば、早くデッキ強化を始められるのでなおよい。

 

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