都道府県連合パズル・ゲーム研究室

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ブラス:バーミンガム(白ブラス)の戦略論1【基本】

白ブラスに最近ハマっています。重ゲー界隈で遊ばれてる割には意外と戦略記事が少ないように思えたので、まとめてみることにしました。

白ブラスは手番中の選択肢が多いためか、重ゲー慣れしている方でも悩んでいる場面をよく見かける印象です。しかし突き詰めると、有効手はかなり限られると私は思っていて、その辺りの考え方の指針を示せれば幸いです。何をすればよいかわからないときの参考にしていただければと思います。


まず、基本的な事項としてゲームに臨む上で頭に入れておくとよいと思う3点について触れます。

(1) 序盤の収入は強い
(2) 借金について
(3) インタラクションについて

    

(1) 序盤の収入は強い

白ブラスは拡大再生産のゲームなので、当然収入は序盤から増やしたほうが、お金がお金を生みより多くの得点行動につながるので強いです。例えば2ラウンド目にⅠの紡績か木箱をバーミンガム先に売却して収入を4にできたとすると、ゲーム終了までに「4×14=56金」ものお金が入ることになります。借金によって得られるお金が30金であることを考えても、これは大きな金額です。

具体的には、以下のどれかを可能なら2ラウンド目、遅くとも3ラウンド目までには達成できるように動き、借金分を除いて+2~4金程度に相当する収入を得られるとよいと思います。

① ⅠかⅡの鉄を建設して裏返す
② ⅠかⅡの石炭を建設して裏返す
③ Ⅰの紡績を建設して売却する
④ Ⅰの木箱を建設して売却する


どれを狙うにせよほぼ市場への運河が必須になるので、誰も敷設しなければ自分で作りましょう。逆を言えば、市場とつながってさえいれば複数の有効手が生まれる余地があるわけで、初手で敷設する手も有りです。自分の初期手札でできる事の多い位置に運河を作れば、仮に次の手番が悪くても有効手が回ってきやすくなります。

① 鉄はⅣまで建てると高得点になるので、鉄から入れるのは強いです。特にⅠの鉄を開発した上でⅡの鉄を裏返せると、鉄道の時代まで残ることも含めて有効です。(ただし終盤鉄が辛くなるのには注意。)序盤から開発する人が多ければ、2~3ラウンド目までに2人は鉄を裏返すことができるでしょう。

② 石炭は開始時の市場の空きが少ない上に、運河でつながってないと使われず制約が大きいので、第一選択肢にはなりづらい。鉄や木箱の建設で市場の石炭が使われたときが狙い目。序盤にⅡの石炭を裏返せると、大量収入アップになるのでおいしい。市場に送り込めない石炭建設から入るのは控えたほうが無難です。他者に使ってもらえない限り、収入アップのタイミングがかなり遅れてしまうことになります。

③,④ 鉄や石炭に比べると売却に1手必要な分手数はかかるが、Ⅰのタイルを消費することでその後の紡績や木箱の展開につなげられるメリットがある。紡績の場合は主軸、木箱の場合は補助程度に。通常は収入+3だが、バーミンガム先に売却できると商人の酒のボーナスと合わせて収入+4になるからおいしい。商人タイルの配置によって、戦術の有効度が変わる点に注意。

    

(2) 借金について

白ブラスにおける借金とは、1手消費して直近のお金を得る行為です。30金と聞くと多いように見えますが、白ブラスの1手の価値は意外と高いので、借金はしないで済むならなるべく控えたほうがいいです。正確には、お金が足りなくなったら借金しないと有効手を取れずどうしようもないので、なるべくお金を残した状態で手番を迎えられるように立ち回れるとよいということです。その意味でも序盤の収入は大事で、ゲームを通しての借金の回数を減らす効果があります。

そもそも借金すると収入が減りますし、すればするほどお金のやり繰りが苦しくなって、更なる借金が必要になるという展開になりがちです。借金も終盤であれば収支はプラスになるので、ガンガン借金してお金を使いまくる戦術もあるにはありますが、その場合借金以外の手の得点効率をかなり上げないと戦えないと思ったほうがよいと思います。


さて、上記の一般的な話とは別に、借金の解釈について掘り下げておいたほうがよいと思っている事柄が一つあります。それは、初回の借金のタイミングについてです。結論から言うと、借金が初回の収入よりあとになろうが先になろうが大差ありません。

白ブラスでは収入は上がれば上がるほど上がりにくくなっていくので、先に借金してから収入を上げていったほうが損しない・・みたく言われていることが多いように思います。私も最初にインストを受けたときはそう教えられました。しかしはたしてそうなのでしょうか?

初回の収入のトラック増加分は+3~7マス程度で、これは+2~4収入に相当し、計算すると借金を先にやったとしても1収入分の得にしかなりません。借金と収入アップを同ラウンドに達成できるならもちろん借金が先のほうがよいのですが、借金を先にやることで収入アップが1ラウンド遅れる場合を考えてみます。その場合、その借金したラウンドで差し引き5~7金の損が生じており、毎ラウンド取り戻せるのは1金だけですから、これはゲーム中盤にならないと収支が逆転しない計算になります。

このように、収入との前後関係で借金のタイミングを気にする意味はほとんどなく、むしろ有効手があるかどうかが重要です。鉄や石炭を即座にひっくり返せるようなおいしい手が序盤に回ってきたら、借金を後回しにしてでも先に建設すべきです。逆に今おいしい手がないなというときは、差し迫ってお金が必要でなくても将来を見越して借金しておくのも有りだと思います。状況にかかわらず、1手辺りの価値を極力高めるのが原則だからです。

    

(3) インタラクションについて

白ブラスは、「共闘のインタラクション」に特徴のあるボードゲームだと思っています。つまり、誰かが他のプレイヤーの資材(鉄,石炭,酒)を使ったら、一般には使ったほうも使われたほうも得をします。もちろん、建設スペースや運河・鉄道の陣取りによる妨害要素もあるにはあるのですが、それらは形は違えどある程度どんな重ゲーにも存在しているものであり、インタラクション性については白ブラス固有の共闘する部分の理解が重要だと思います。

何が言いたいのかというと、多人数戦(3~4人戦)においては、自分が伸びている以上は他人の資材もどんどん使っていったほうが得です。資材を使われた人が一緒に得をしたとしても、他の1~2人に対して優位に立つことができるので、それを異なるプレイヤーに対して繰り返していけば、相対的に自分の優位性は増していくことになります。

もちろん、自分は大して伸びずに相手のみ大きく得をするような資材の使い方はNGですし、上級者やトップの人を警戒して共闘を控えたほうがよい場面もあるでしょうが、一般にはあまり気にしなくてよいと思います。「この資材使うと助けちゃうな…」と感じる場面でも、自分の手を順調に進められる状況ならためらわずに使いましょう。


また、共闘のインタラクションは序盤の運河敷設によっても顕著に発生します。例えば、バーミンガム先に紡績と木箱を売却できる状況のときにそこに運河を作ると、「鉄の建設,紡績の建設&売却,木箱の建設&売却」と3つも有効手が生まれます。さらにこれらが実行されると市場の石炭が消費されるので、石炭の建設も有効手になります。4人戦の場合、こうして生まれた4つの有効手を1人ずつ取れれば丸いですが、3人が共闘しているのに1人だけ他の事をやっていると、序盤から不利な状況に追い込まれてしまうことになります。

この辺りは戦略的にやや難しい部分かもしれませんが、初期手札と合わせて自分が多く絡めそうな共闘関係を発生させられる位置への運河敷設を意識すると、より有利に序盤の手を進められるようになると思います。

 

ポイントまとめ

(1) 序盤の収入は強い
・1枚目の産業タイルを建設して裏返すタイミングをなるべく早く・・を意識する。
・鉄や石炭を建設と同時に裏返せるのはおいしいので、優先的に押さえる。
・商人の酒を使ったⅠの紡績や木箱の売却は、やるなら早めのほうがよい。あとでまとめて売却しようとして待つのはNG。
・市場につながらない石炭建設から入るのは控えたほうが無難。
・お勧めの初手は「開発(4金以内でできる場合),借金,市場への運河敷設」のどれか。
・市場への運河は誰も作らなければ自分で作る。誰かが作ってくれたらそれを利用して収入アップを目指す。

(2) 借金について
・借金は必要最小限で行なうもの。お金が足りなくなったら借金すればいいや・・は弱い。
・収支的には収入を上げられるラウンドの1手目で行なうのがベスト。
・収入に変化がないなら、開発や運河敷設のようなお金のかからない手を優先して先延ばしにする。
・収入とタイミングを合わせられない場合、前後関係は気にしなくてよい。
・なるべく有効手のないときに行なうようにし、おいしい手が回ってきたときに備えておく。
・次のラウンドで早い手番順が欲しくて行われることもある。(初手,運河の時代の最終ラウンド等)

(3) インタラクションについて
・自分が伸びている限り、他人の資材はためらわずどんどん使ってよい。
・市場への運河敷設は大きな共闘のインタラクションを生み出す。なるべくそこに多く絡めるように意識する。

 

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