都道府県連合パズル・ゲーム研究室

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グレートウエスタントレイル:戦術紹介4【カウボーイ+技師】

今回の内容は、戦術紹介というよりも「あまりこの戦術は取らないほうがいいですよ!」・・という紹介になります。

結論を先に申し上げると、3種の労働者の中で「カウボーイ+技師」の組み合わせだけはどうしても弱く、勝ちにつなげるのが難しいと感じています。その理由について、順を追って見ていきたいと思います。


まず、カウボーイと技師それぞれの効果のおさらいですが、カウボーイは牛の購入を助けてくれます。安く買えることでデッキ強化が加速され、得点も得られます。技師は列車を進ませ、駅長タイルや駅の得点が得られたり出荷の際の通行料がかからなくなったりします。

ざっと見ても、効果は大きく異なるもので互いの関連はあまりありません。あるとすれば、列車を進めることで輸送費を節約して得られたお金を牛の購入にも使えることくらいです。基本的な要素であるお金はカウボーイへ行っても技師へ行っても継続的に必要になるので、お金を得る行動だけは一応どちらにも関わっていると言えるかもしれません。


しかしメインの効果に関しては、カウボーイと技師の双方を同時に活かせるアクションは今のところ(初期セットの建物ラインナップでは)存在しません。すなわち牛を買うのと列車を進めるのは1手で同時にはできないということです。

これは、牛を買っているときには技師が活かされておらず、列車を進めているときにはカウボーイが活かされていないことを意味します。雇った労働者はなるべくたくさん活かしたほうが強いのは当然なので、これは効率の悪い状態です。カウボーイと技師が互いに働く機会を取り合ってしまうということですね。「カウボーイさんは月水金働いてください。技師さんは火木だけでいいです。」・・みたいな感じです(笑)。


ちなみに職人の場合は、建物を建てられるようになること自体が効果なので、その建物のアクションによって活かされるのがカウボーイであっても技師であっても、職人も同時に活かされていることになります。この点がカウボーイや技師とは根本的に異なります。

 

以上のような原則がありつつも、実戦ではさらに複雑にさまざまな要素が絡み合うため、流れでカウボーイと技師を両方雇うことになったり、それしか選択肢のないような場面も出てくるかもしれません。より具体的に、そうなる可能性について考えてみます。状況を以下の3つに場合分けして見ていきます。

① 最初にカウボーイと技師を1人ずつ雇う
② カウボーイを2人以上雇ったあとで技師を雇う
③ 技師を2人以上雇ったあとでカウボーイを雇う


① は、最初に雇う最も重要な労働者の効果が分散してしまうかたちなので、一般には損だと思います。牛も買って、列車も進めて・・とやっているうちに、どちらかに特化している他のプレイヤーはどんどん出荷回数を増やして、拡大再生産を進めていってしまいます。

カウボーイか技師のどちらかを2人雇えればそもそもそれでよいのですが、共に1人しか残っていない場合は一方のみに留めたほうが無難です。例えばカウボーイを雇った場合は、技師を雇わずに節約したお金を牛の購入に投じる(12コインでの5牛購入など)ことになりますし、技師を雇った場合はまだ列車を進めるにも効率が悪いので、さっさと出荷して3人目以降の技師雇いを目指すことになります。いずれの場合も2人雇い時と比べると多少効率は落ちますが、少なくとも雇った
労働者は無駄なく活かせている(あるいは今後活かそうとしている)状態なので、悪い手順ではありません。

一つだけ考えられるケースとして、技師中心で進める予定の中で1人だけカウボーイを雇い、1~2枚の3牛を安く買ったあとで駅長にするというプランなら有りかもしれません。ただその間も技師を多く雇っているほうが列車は進みますし、本来は強い即時効果を繰り返し使うために4人目の職人や技師を駅長にしたいところなので、最優先の選択肢ではないように思います。またそもそも、このようにカウボーイを使い捨てで少しだけ活かすのは、カウボーイと技師の併用戦術というよりも技師戦術の特殊な場合と捉えたほうが適切でしょうね。


次に ② ですが、一般にカウボーイ雇いから入ったときは、それ以降技師に手を伸ばす必要はないと考えています。カウボーイを雇った以上は「牛の購入」がより強いアクションになるわけで、ここにお金を使う明確な手段が生まれます。牛の購入は、お金さえあれば「即時のカード点+デッキ強化」という優秀な効果をもたらしてくれるアクションだからです。

仮に牛の購入に使うべきお金を技師を雇うのに使ってしまったとすると、それにより強い牛がデッキに入らないままシャッフルタイミングを迎え、牛購入のみに特化していた場合と比べてその後の出荷が弱くなることは必死です。そして、このようなデメリットを享受できるほどの効果がはたして技師にあるのか?・・というところです。

技師はその特性上、効果が得られるまでに手数がかかります。例えば技師2人の状態なら列車に2手使ってようやく踏切1つ、技師3人なら踏切3つを越えられる程度です。その輸送費軽減の効果も、出荷時まで待ってようやく得られるものです。雇うのに大金をかけ、列車に手数を使ったにもかかわらず得られる効果がこの程度では、とても割に合わないと思います。その間にも牛を購入してデッキ強化していたほうがずっと強いでしょう。

駅長タイルを取れればまだマシかもしれませんが、カウボーイ雇いから入っているということは通常なら他に技師から入っているプレイヤーもいるわけで、そのプレイヤーに優先権を握られてしまうために強い駅長タイルに有りつけることは期待できません。その上仮に1枚くらい取れたとしても、まだ技師にかけたコストの元は取れないレベルだと思います。技師戦術が強いのは、何枚も駅長タイルを取ったり奥の駅を取りにいくほどに活かしきるからで、駅長タイル1枚程度ならまだカウボーイを雇って牛を買い続けているほうが得点効率は良いです。


・・と、ここまで堂々と述べておいてあれなのですが、実は「カウボーイ+技師」の戦術の強さを謳っている記事も外にはあります。なのでもしかしたら何か状況を見落としていたり、この戦術が活きる特殊な場面も存在するのかもしれません。一つ考えられるとすれば、私有建物が乱立していて必然的に共有建物CやGを踏まなければならなくなるときで、このときは手数が余分にかかるデメリットはないも同然ですから、牛をめいっぱい購入してもお金が余るようであればワンチャン有りなのかもしれません。それでもこの状況が生まれるのは中盤以降ですから、活かす機会の少ない労働者を雇うよりは余ったお金は災害タイルにでも投じたほうがまだ良いように思いますが…。

少なくとも、このようなデフレ場のほうが戦えるのは確かだと思います。ざっくりのイメージだと、通常の場でカウボーイ特化戦術「技師+職人」の戦術が100点を超えるタイミングでまだ「カウボーイ+技師」の戦術は70~80点止まりのところ、デフレ場だと後者の得点はほとんど変わらずに前者の得点が80~90点くらいに落ちてくる・・という感じです。

あとおそらく得点曲線としては、奥の駅まで取れるようになればどこかでカウボーイ特化戦術を逆転できるのでしょうけど、そこまでゲームが長引くのは稀なように思います。基本的にはずっと牛だけを買っていたカウボーイ特化戦術のほうが終盤になってもデッキは強い状態なので、出荷による得点も稼ぎやすいでしょうし、逆転は途方もなく遠くに感じます。(^^;


最後に ③ です。技師雇いから入ったときには、前回の記事でも述べたように職人を追加していき強力な建物の効果をいち早く使えるようにするのがセオリーです。しかし職人が労働市場にほとんど残っておらず、早めに4人にするのが難しいと思われるときには、やむを得ずカウボーイへ手を伸ばさなければならない場面もあるかもしれません。

牛が枯渇しない限りはいくらでも得点を重ねられるカウボーイとは違い、技師で取れる得点は駅と駅長タイルに限られており効率的にも限界があるため、さすがに技師オンリーになってしまっては勝利ラインまで得点を上げることは困難です。そこで、あとからでも職人かカウボーイのどちらかに手を伸ばす必要があるのですが、第一候補の職人が難しいときの選択肢として、仕方なくカウボーイ・・ということです。

職人へ行った場合、建物の効果で技師戦術本来の駅や駅長タイルの得点が加速される上に、建物自体の得点も20~30点くらい入るので、100点超えが十分現実的です。一方、カウボーイの最も重要な効果である「デッキ強化」の結果が出始めるのは、「雇った上で牛を買いさらにデッキシャッフルが入ったあとの出荷」というかなりあとのタイミングであり、職人と比べるとやや遅いイメージです。

職人で最強建物の10a・10bを使い始められる頃に、カウボーイだと1~2枚の3~4牛をようやく出荷できるくらいのスピード感なので、その後の発展を考えても職人ほどの伸びは期待できないかと思います。ゲームスタート時からの純粋な速度だと後者のほうが早く実現するでしょうが、最初に技師を雇っていく場合その間にお金を貯める動きが可能になるため、その後の職人とカウボーイで比較したときには前者が相対的に早くなって釣り合ってしまうということです。お金さえあれば労働者の雇用や建物の建設は早められますが、デッキ回転は早められませんから。

すなわち、途中からカウボーイを雇う場合の(牛や出荷の)得点の上乗せ効果は限定的なので、本来の技師戦術による得点が鍵になります。ただし「カウボーイ+技師」の状態になると、終盤はよほど列車が進んでいない限りは奥の駅よりも牛の購入に手数とお金を使ったほうが得点効率は良くなるため、結局のところ駅長タイルで高得点が取れていないと厳しいと思います。

 

ポイントまとめ

・「カウボーイ+技師」の状態は、基本的にどっちつかずになり弱い。

・最初にカウボーイを2人雇った場合は、それ以降に技師を雇うのは非効率。ひたすら牛を買い続けていればよい。

・最初に技師を2人雇った場合は、職人と併用するのがセオリー。職人の競争率が高く継続的に雇うのが難しい場合に限り、カウボーイも選択肢になる。

 

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